愛の模索、映画『あの頃エッフェル塔の下で』

映画『あの頃エッフェル塔の下で』(2015) を観た。フランスの有名な人が監督らしい。映画の筋は、50代の男が自分の人生を振り返り、若き頃の大恋愛を思い出す話。私は失恋をしたばかりだから、丁度、これまで持っていた恋愛への向き合い方を揺さぶられている最中にあり、だからこの作品は刺さった。

まず、やっぱり恋の存在の大きさを知る。何事にも例えられないような大きな衝撃を受ける。自分の思考や行動を、頭ではコントロールできないということを思い知る。この男は、20年以上経ってもその時のことを思い、リアルな感情を持つ。若き頃に自分の恋人を奪った男に怒りをぶつける。

ただ、恋は苦しい。こういう恋を描いたフランス映画でハッピーエンドのもの(最後まで結ばれている)なんてあるだろうか。破滅の運命にあることを指し示しているよう。

同時に、恋は稀だ。若い頃にしかできないのかもしれない。先生が言ったように「結婚は簡単にできる」ただの契約。そんなものに恋はないのかもしれない。

結論、私は先の大恋愛(破滅)を経験したことを有り難くも思い、絶望とも思いなんとも言えない。人生に一度きりレベルの恋を経験せずに死ぬのは御免だけど、もう来ないかもしれないと思うと辛い。早く立ち直り、未来の恋人に出会いたいわ!と嘆いたひと時もあったが、こればかりは偶然の産物。息を潜めて来たる未来を待つしかないのね。